衛星3機体制のもと
新しい衛星通信サービスを提供。

グループの総力をバックに、
衛星通信の可能性に立ち向かう

 同社はMグループ28社の資本出資で生まれ、グループの大きな期待を担いながら衛星通信ビジネスに取り組んでいる企業だ。現在は3つの衛星を保有、新しいサービスを提供している。一方、設立10数年という新しい企業でもあり、社内では若手技術者が衛星の調達や管制、アプリケーションの提案など、重要な仕事を任されている。

衛星通信をビジネスを
本格的に成長させていく時代

 97年7月、当社にとって3機目の通信衛星が米国フロリダ州から打ち上がった。C号機は、日本・北東アジア・南東アジア・ハワイの4本の固定ビーム、さらに可動ビームを装備。合計5本のビームでアジア・太平洋地域をカバーしている。ハワイの基地局を経由して米国の衛星へ接続することも可能だ。このほか、156Mbpsの高速大容量伝送、地上系のB-ISDNとの接続、ATM(非同期転送モード)交換機能の搭載など、数々の新機能が生かされている。3機体制の確立で、事業基盤がさらに強化されたわけだ。

 97年12月に日本でサービスを開始したシステムは、映像の圧縮技術や伝送のための多重化技術、そのソフトウェア技術などが駆使された衛星デジタル多チャンネル放送だ。この配信に利用されているのが、C号機である。技術的にはオン・デマンドでのコンテンツの配信も可能。アメリカで大成功を納めたシステムだけに、日本での展開にも期待がかかっている。当社では実際のサービス提供会社に資本出資。茨城の衛星管制局(SPE)から放送センターのバックアップを行っていく。

グループの総力

 当社が誕生したのは1985年。通信事業が民営化された年である。設立に際しては、Mグループ全28社が資本を出資。衛星系の第一種電気通信事業者として、将来性豊かな衛星通信事業を切り開き、衛星通信の高度化と多様化をリードしていくことを目的に事業がスタートした。現在では、3つの通信衛星を保有。充実した3機体制のもとで、数々のサービスを提供している。衛星通信ビジネスはスタートアップの時期を終え、本格的な成長期に突入しているのである。

衛星通信の優位点

 広域性、同報性、柔軟性、耐災害性、高速性、大容量性、多元接続性など。衛星通信は、地上系通信にはないメリットを数多く備えている。たとえば1カ所の地上局から多数の地点への情報の配信、逆に多地点から1カ所への集信が可能な点があげられる。映像・音声・データといった各種の信号を大量・高速に伝送できる。地上局・車載局・可搬局を設置することで通信拠点の増設・移動ができるなど回線設定の柔軟性にも優れ、地震などの地上の災害の影響も受けにくい。また、一つの通信衛星に複数の地球局が多元的に同時接続できるといった特長もある。

多彩なサービス

 衛星通信サービスはもはや身近な存在といえる。CATV局への番組配信、取材現場と放送局を結ぶSNG(サテライト・ニュース・ギャザリング)のほか、新聞社では取材現場から写真や記事の伝送に。また、大学や予備校では各地の教室に講義を配信。自治体や電力会社などは災害に強いネットワークを構築。大手企業では各拠点間を結んで社員研修や社内イベントを行う。またクローズドサーキット、オン・デマンドによるビデオ配信など、利用は拡大中。地上系通信ネットワークとのリンクなどで、マルチメディアや移動通信のサービスも実現している。

システム

 97年1月からサービスを開始したシステム。これは、端末側が大容量のコンテンツを受信する際、端末に受信用アンテナをセットして直接12Mbpsの高速な衛星回線からコンテンツを伝送するもの。電話回線しか使えない環境で大容量のコンテンツを受信するに、時間短縮も低コスト化が図れる。また、1996年にはA号機を使い、DAMA(Demand Assignment Mlutiple Access)方式による衛星電話サービスをスタート。災害時や、山間部での建設工事などの際に、専用回線として利用できるシステムである。

社内体制

 当社の本社では時期衛星の企画、仕様決定、調達、個々のユーザーに向けた通信システムの構築、官公庁との調整などを担当。また、SPEでは、3機の衛星から絶え間なく送られていく信号(テレメトリ)をモニタ・解析し、コントロール。衛星の軌道制御や地球局からトランスポンダへの送信支援、通信回線の運用監視も行っている。SPW(山口衛星管制局)は、そのバックアップ局。SPEとほぼ同一の設備環境があり、障害時・災害時にいつでも業務を完全代行できる体制になっている。

職種と仕事内容

 文系学科出身の先輩の配属先は、営業部門、本社スタッフ部門が中心になっている。ネットワーク本部の3つの営業部では、官公庁・自治体、放送局、一般企業などに対して、衛星通信システムを使ったアプリケーションの企画・提案・営業活動を推進。新しいニーズを掘り起こし、マーケットを創造していく仕事であり、企画・提案が大きな柱になっている。最近では、ユーザーが導入しやすい新規サービスも増え、また本格的な国際通信のニーズへの対応に向けて国際営業部も新設。営業部門の動きも今まで以上に活発になっている。
 また、本社スタッフ部門は3部門。企画部門では、会社の長期戦略や事業計画のプランニング、広報・宣伝活動、郵政省との折衝、衛星や設備などの調達、国際間の調整、保険契約などの業務を担当。総務部門では、組織づくりや人事採用、教育、福利厚生。経理部門では、会計処理や資金の運用・管理とともに計画・実績の計数管理を担当していく。

メディア関連

 営業第1部はメディア関連のお客様に対する営業活動を担当しています。具体的にいうと顧客は、放送局各社、番組供給会社、新聞社・出版社などが中心になります。とくにここ1年ほどは、営業と事業化に向けたサポートなどのウエイトが高かったですね。もうすでに高い技術力、ノウハウをお持ちのお客様から、今回初めて放送事業に手がけられる会社までさまざまです。そうしたお客様に対して、放送事業者としての申請からシステム提案までを行います。もちろん専門的な話については、システム技術部や企画部などのセクションが担当。営業はそのコーディネイターとしてお客様の計画がスムーズに進むようにフォローしていきます。
 当社の面白さは、たとえ新人であっても何か一つの仕事を任されることです。実際、私も入社2年目ながら、すでに何社ものお客様を担当しています。それに今はアナログからデジタルへの移行期で、もっと安くサービスを提供できるようになってきました。会社もビジネスも、これからが成長期なのです。

企画部の仕事

 当社は第一種電気通信事業者として、郵政省の認可のもとに事業を行っている会社です。郵政省などへの対応が業務グループの主な仕事で、私自身は主に郵政省に提出する約款の作成などを担当しています。
 これまで各システムの約款を担当。一つのサービスを実施するには、料金体系やサービスの提供条件などを定めた契約約款を作成し、郵政省の許可を得なければなりません。まず会議を設定し、営業や技術などの部門から意見を吸い上げます。料金一つをとっても営業部門が売りやすく、しかも郵政省に納得してもらえる料金案でなければなりません。また、規制緩和、税制改正など、郵政省に対する要望も重要な担当業務の一つです。さらに最近は、国際衛星通信の時代になり、国際間の電波干渉調整・周波数調整といった国際調整も必要になっています。どの業務もいろいろな立場に立って考え、各方面との意見調整を行っていくことが大切ですね。