当社は1947年の設立以来、時代を見据えた事業を展開し、次々と活動の幅を広げてきました。設立当初から貫いているポリシーは、単に商品を右から左に流すのではなく、ユーザーの計画・開発段階から入り込み、最適の商品を創り出していくこと。社内では若手社員が大きな仕事を任され、それぞれのアイデアや発想をもとに、徹底した開発型営業を進めています。当社はそんな、モノづくりを得意とする開発型総合商社なのです。
商社機能にメーカー機能をプラス
ユーザーに対して最適の商品を提供する。当社はこの姿勢を徹底して貫く総合商社である。ユーザー企業が本当に欲しているものを企画・提案し、開発し、そして提供していくことを、全社あげての営業戦略にしているのだ。だから、ただ注文された通りの商品を、指示された数量だけ仕入れて納品するというような仕事は、どのセクションにも存在しない。たとえば自動車メーカーやOA機器メーカーをユーザーにしている営業社員なら、新製品の企画・開発段階から入り込み、情報やニーズを収集。仕入先メーカーに伝えるとともに、用途に応じた製品の開発活動をディレクションしていく。
こうして当社が間に入ることで、ユーザーニーズと仕入先メーカーの技術とを結びつける。いわばその“付加価値”の部分を最大の武器にしているのである。社内には設計や開発を専門に行う技術部というセクションもあるし、グループ企業や協力企業、仕入先メーカーなどとの連携も密接だ。協力工場だけをとってもその数は、70社以上にのぼっている。当社は設立当初からメーカー機能を有し、「モノづくり」ができる新しいタイプの商社として成長を続けているのである。
新人でも担当の仕事は任される
全員が経営に参加し、自分たちの手で会社を伸ばしていこう、良くしていこうという意欲を持てるようにする。いわば“みんなでつくる会社”が、当社の会社づくりのポリシーである。そのため仕事に関しても、社員の自主性や個性を重視し、仕事を任せる風土が形成されている。もちろん新入社員であっても、担当の仕事は基本的に本人に任される。だから、社員が自分の意志を持ち、それぞれの戦略を立て、アイデアや発想を広げながら、次々と新しい展開を自分で切り開いていくことができるのだ。
しかも、ほとんどいっていいほど、“制約”がない。営業活動から収集したニーズや情報をもとに、新しいことを考える。ビジネスとして成立するなら、足りないモノは創り上げていく。独立系の商社であるため、系列という枠にとらわれず、あらゆるメーカーのすべての商品を扱うことができる。何でも柔軟にコーディネイトしていけるのである。
また、売り物が“形のある商品”だけとも限らない。中には“組立工程”を受注してくる社員もいる。協力会社に新しい生産ラインを導入し、そこへ部品を供給してもらい、組み立てられた製品をユーザーに納入するわけである。それも、既存の協力会社が対応できる範囲に限定されることもない。必要な技術を協力会社が持ち合わせていなければ、新しい技術の確立から始める。あまりにも畑違いな技術分野であれば、新たな協力会社を探すところから始めればいいのである。
このように、当社の事業展開には“枠”というものがなく、どこまでも広がっていく可能性を持っている。実際、現在の多種多様なビジネスも社員が一つ一つ開拓・開発してきたもの。一人一人の日々の開発によって、ビジネスを次々と切り開いていく多面体企業なのである。
いいと思ったら、どんどんやってみる
第一事業部は、自動車部品をメインに扱っているセクション。その中でも、私は新規開拓を中心に担当しています。今まで自動車部品で築いてきたノウハウをもとに、新しい納入先や新しいアイテムを開拓していくこと。それが主な仕事になります。今まで私が手がけたものに、自動車のヘッドライトのカバーがあります。これは特殊な加工によって、樹脂の周りに金属が張り付いているんです。この商品をベースに、何とかどこか違った分野に展開できないだろうかと考えました。最初は自動車やコンピュータといった技術系のイメージからなかなか抜け出せずにいたんですが、思い切って発想を転換。すると意外にも、文具と化粧品の業界への応用が見えてきたんです。結局、高級ボールペンのペン先の製造で用途を見つけ、化粧品関係でもアイラインのペン軸などに応用ができました。ユーザーも既存のものより低コスト化が図れ、メリットを提供することができたわけです。
試作10回、開発期間2年
自動車メーカー向けの商品には、フロアマットやシートカバーといった内装用の製品もあります。入社早々、先輩から自動車メーカーさんを1社引き継ぎ、そちらのデザイン部門で1つの車種のシートカバーの話が持ち上がったんです。まず先方の次期モデルの開発コンセプトを収集し、当社の協力メーカーの開発活動をサポート。生地自体から何度もプレゼンテーションしていきました。また、色は黒や赤、青などを使っていたため、染色が難しく、どうしても光によって微妙な色落ちが出てしまうんです。とにかく自動車メーカーが要求する品質水準は厳しく、10回ぐらい試作品を作りました。結局、話が出てから2年後の発売に何とか間に合う形で、先方も納得する品質を実現しました。苦労しただけに自分の手がけた商品が純正シートカバーとして市場に出たときは感激しましたね。ここで確立したノウハウと実績がきっかけとなり、今では車種も商品も大幅に拡大しています。
公共施設にブラインドを納入
各種の建材が、第三事業部の主要製品です。取り扱い商品は多種多様なんですが、その中の一つにブラインドがあります。当社ではオフィスビルなどには実績はあるものの、ブラインドを官公庁に納めたことがなかったんです。何とか新しい販路をつくろうと、まずは本社をおく大田区の区役所などを訪問しました。ただ、区役所にもいろいろな担当部署があって、どこからあたればいいのかわからない。何度も通いながら、企画から設計、建設、営繕などまでいろいろある先方の部署の“勉強”をし、同時にさまざまな方面から建設計画などの情報も収集。「大田区立母子寮」の新築工事を計画していることをキャッチして、具体的にブラインドの商談を切り出していきました。話が煮詰まってきてからは、低価格で、色数も豊富で、子供さんでも簡単に操作できるタイプのオーダーメイド商品を提案。これが採用され、無事にベージュのブラインドが施工されました。
プリンターの紙を送るローラー
たとえばノートか何かのコピーを撮ると、複写機からはきちんと1枚1枚紙が出てきますよね。ゴムのローラーがついていて、紙を一枚ずつ送るようになっているんです。ああいう事務機器やOA機器などに使われるゴム製のローラーも当社の商品です。ただ、あるメーカーさんの新しいプリンターには当社の商品が全く使われていなくて、シェア0%だったんです。それで、ゴムのメーカーとも一体となって、先方の要求をクリアする製品を開発し、納入することに成功しました。最近は、用紙を1枚ずつ正確に送る“搬送力”と、機能を維持する“耐久性”に厳しい性能が求められいて、どんな配合のゴムを使うかで、性能は変わってきます。OAメーカーとゴムメーカーとの間に当社が入ることで、いろいろなメーカーの技術をコーディネイトし、また商社としての情報力を商品開発に生かすことができます。商社+メーカーの機能が生かされる時代なのです。