Nグループの販売・流通分野のシステムを
手がける情報戦略会社

N車の販売・流通業務の
情報システム化を担う

 当社では情報戦略を重視し、これまで開発・設計、生産、情報通信という具合に各分野ごとに情報システム会社を設立。それぞれの会社が専門性を発揮しながら、情報システムの開発を推し進めてきた。こうした中にあって、グループ会社や全国の販売会社など、主に販売・流通に関わる企業に対して、情報システムの企画・開発・コンサルテーションから導入・教育・運用にいたるまで幅広い業務に取り組んでいるのが日産アイである。いわばグループの販売・流通分野の新戦略企業といえるだろう。
 同社が手がけるシステムのうち、代表的なものに「PROFIT」システムがある。これは全国に広がる販売会社の経営体質改善や充実した「お客様対応」などを目的としたシステム。すでに二一〇の販売会社に導入されており、九四年には最新版の「PROFIT−SI」が完成している。このほか車種見積もりシステムや、プリンス系販売会社向けの総合経営情報システム「PILOT」、販売会社の役員クラスを対象としたCAI、自動車整備専門学校の運営管理システム、あるいはカーリース業向け経理システムなどまで、多彩な情報システムに取り組んでいる。

お客様の問題点を
「発見する力」に期待

 同社は八七年七月設立の新しい会社。社員も若く、八八年に入社した第一期生社員が現在、中堅どころのSEとして活躍中である。「当社があったからこそ、N車が売れた」。そうした自社の存在意義をより高めていこうと、若い社員が一丸となってシステム開発に取り組んでいるという感じだ。
 また同社の大卒のSEは、文系・理工系の出身者がほぼ半々の割合になっている。これは意識的にそうしているわけではなく、そもそも文系・理工系という分けた考え方を持っていないところに起因している。逆にいえば、専攻分野だけで適性などを判断しないため、社員にとっては活躍の場が大きく広がっているといえるだろう。ソフトウエア業界では、SE一人一人の「問題解決力」「提案力」の向上をめざした教育が叫ばれている。だが、同社はあえて、それ以前の「問題発見力」に着目する。お客様が抱える課題、課題の本質、将来起こりうる問題点を見抜く力である。これは大学の研究室で新技術や理論などの鍵をつかんだり、将来的に重要技術となるような研究テーマそのものを見つけだすことと共通点があり、理工系出身SEとしてはこうした能力も生かされるのではないだろうか。