ゴム製品、樹脂製品の2つの分野で、
付加価値の高い画期的な新製品を続々と開発中

技術提案型メーカーとしての活動を展開

 当社は、ゴム製品、樹脂製品という2つの事業分野を持つメーカー。グループ各社、自動車・輸送機器、弱電電子機器などのメーカーをはじめ、建設、JR各社、官公庁、レジャー関連まで、幅広い業界に製品を納入しています。近年では高付加価値製品をテーマに、積極的な新製品開発活動を展開。路面凍結によるスリップ事故を防止する「スノーマット」や「ステップラバー」を共同開発したほか、「水膨張ゴム止水材」なども自主開発しています。また「CAD/CAMプロッター用精密ローラー」といった電子機器分野の新製品も生み出すなど、技術提案型の活動を進めています。

技術提案型メーカーとして
歩む当社の未来戦略

ゴムと樹脂、二つの
事業部門を持つメーカー

 当社は一九四九年の創業以来、工業用ゴム製品を中心に手がけてきたメーカーである。八一年からは樹脂製品分野への進出を図り、現在ではゴム製品、樹脂製品という二つの製品分野を柱に事業を展開している。両事業部門の売り上げ構成比はほぼ半々である。
 具体的な製品とすると、ゴム製品ではゴムシートやゴムマット、モールド製品など。樹脂製品では、塩ビコンパウンド、Kナイロン、NTナイロン、成型品などがある。納入先は三菱系グループ各社をはじめ、自動車メーカー、弱電電子機器メーカー、輸送機器メーカー、建設会社、JR各社、官公庁、あるいはユニークなところではスケート場向けのゴムマットなどもあり、スポーツ・レジャー分野まで多彩に広がっている。製品の種類も二〇〇〇以上あり、産業そして生活のさまざまな場面で同社の製品が活躍していると思っていいだろう。
 二一世紀に向けての同社の戦略を簡単にいうなら、「技術提案型企業としての事業展開」である。

コンセプトは、
「高付加価値製品」

 将来の国内産業のめざすべき方向性としてよく言われるのが、高付加価値製品や先端技術分野を中心とした展開である。技術的に高度で、量産品であっても品質レベルの高いものこそ、日本企業が取り組む分野だと指摘されている。同社の戦略もこうした基本構想に沿ったものであり、早くから対応を進めてきている。
 そもそもゴムという素材は、形を自在に変えることができ、また耐熱性、耐磨耗性、絶縁性、耐薬品性、衝撃吸収力、耐振動性といった優れた性質を数多く有している。そのため用途の範囲はどこまでも広い。同社は素材メーカーではなく、多様なゴム素材を使って製品を開発する加工メーカーである。しかも前身がタイヤメーカーであるため配合設計技術に優れ、従来にはなかった用途に向けて全く新しい特性の製品を生み出していく開発力を持っている。
 開発活動の中枢セクションが、企画開発センター。ここには二〇名弱のスタッフが所属し、果敢な研究開発活動に取り組んでいる。ここにきて「高付加価値商品」が次々と実を結んでいる。

次々と成果をあげる
新製品開発活動

 同社がJR北海道との共同開発によって完成させた「スノーマット」という商品がある。これは交差点や坂道など、路面凍結による自動車のスリップ事故が起きやすい場所に設置し、スリップを防ぐもの。ゴムの弾性を利用して氷を割り、割った氷も特殊な表面形状によって排除する画期的な機能を持っている。すでに実用化段階にあり、寒冷地で大いに活用されることになろう。さらに九四年一一月、やはりJR北海道グループとの共同で「ステップラバー」という商品を開発した。こちらは屋外の階段に凍り付いた雪を除去するもので、鉄道関連施設のほか、一般住宅にも応用できるという。
 また同社は、製品開発でもグループパワーが生かされる。グループ会社との共同による液晶ポリマー、ナイロンコンパウンドなどの製品開発にも意欲的に取り組んでおり、新しい素材の仕入れ、素材開発と製品開発の技術的な連携、さらには幅広い情報収集などまで、メリットは大きい。
 このほか、電子機器の分野の新製品である「CAD/CAMプロッター用精密ローラー」では、開発活動の新しいポリシーが見えてくる。商品企画の際には、シンクタンクにゴム製品マーケットの調査を依頼した。マーケティングに注力し、「技術力+営業情報力」という手法でOA機器業界の精密部品にターゲットを絞って開発したのだ。ユーザーからの依頼をもとに、ニーズに対応した製品を供給してきた従来のスタイルではなく、自ら新しい製品を開発し、社会へ提案するという手法であり、そのプロセスにも意味があるように思える。同社がめざしている姿も、技術をベースに、社会に新しい提案をしていく技術提案型の事業であり、受注型から提案型への移行の大きなステップになるはずである。

技術者の仕事や、
技術者像も変化する

 同社の開発技術者の仕事は「ゴムで何ができるか」を考えることといっていい。ゴムの特性を生かし、応用できる分野を探していく。ゴムの新しい市場を創造することでもある。企画開発センターでは、基本的に一人二つのテーマを担当しているが、一つは中長期的に見た将来的なテーマの研究、もう一つは具体的な期間や仕様が決まっている製品開発である。R&D会議も活発に行われ、海外に赴いて世界の動向もリサーチするケースもある。
 こうした開発・提案型の事業では、開発者一人一人の能力が非常に重要になってくるわけだが、教育や人材活用の体制づくりにも余念がない。新入社員に関しては、四年間にわたって先輩社員がマンツーマンで指導にあたる。テーマの内容も出身学科や個性をきちんと見極めた上で、最も能力を発揮できるテーマを担当させている。また、個人やチームの実績を評価する制度もある。「知的所有権制度」では成果に応じた報償があり、実用新案申請や特許への申請・登録に結びつくと所定の報奨金が支給される。商品化され、ヒット商品へと発展すれば、特別報償も用意されている。
 以上、研究開発に絞って紹介してきたが、他の面でもテーマは多い。たとえば、生産面では商品の低価格化に対応するための生産体制づくりが進められている。ここでは電気・電子、機械系の技術者を中心として、先進的な技術を活用したFA化が進められている。営業セクションでは提案型ビジネスの推進のため、理工系出身の営業社員も活躍中だ。決められた枠の中で一つの技術を極めていくのではなく、より柔軟に、技術や知識をもとに社会に対して新しい提案をしていく。技術提案型の体制づくりの中で、新しい技術者像が掲げられているでのある。