プラントのメンテナンスエンジニアリングを手がける技術集団
当社の名前は、プラントの世界では知らない人がいないほど深く浸透しています。他業界の人からは誤解を招きがちな社名ですが、その実体は東京に本社をおくプラントメンテナンスのエンジニアリング企業です。当社は昭和28年、一部上場の鉄工所のプラントメンテナンス部門から分離・独立する形で設立。当社は石油精製、化学プラント、内燃機関、産業機械などの総合メーカーであり、直径企業である当社は技術者集団としてのスピリットを継承しています。また設立後は確かな企業基盤のもとで事業を展開中です。こうしたバックグラウンドのもと、石油精製・石油化学プラントのメンテナンスエンジニアリングに着手。最近では薬品や食品などのファインケミカルプラントの建設にも取り組んでいます。さらに、インドネシア国営プルタミア石油のプラントなど、海外事業にも進出し、活動領域を大きく広げています。
技術の集大成ともいえる
大がかりな“プロジェクト”
石油プラントは規模的にも巨大で、いろいろな分野の先端技術が結集された一大生産ラインです。そもそもプラントには、定期的な点検・検査が法律で義務づけられています。その点検・検査も「シャットダウン・メンテナンス」という方式で、プラントのすべての機能を一定期間停止して行われる大がかりなもの。エレクトロニクスを駆使した機器・システムによって精密な計測・分析が行われ、実際に動くスタッフは1000人を超えることもあります。ひとくちにメンテナンスといっても、単に壊れたところを修理するのではなく、むしろ“プロジェクト”と呼んだほうが正しいほど。当社が得意としているのも、この「シャットダウン・メンテナンス」なのです。
石油プラントが産業や生活に欠かせないクリーンエネルギーを安定供給し続けているのも、こうしたメンテナンス技術によって常に最適の状態が保たれているため。ていきます。プラントが存在し続ける限り、メンテナンスの技術も必要なのです。
生のプラントに接してきた経験を
プロセスの仕事に生かしたい
「日々の仕事は、お客様から『プラントの能力アップを図りたいので、プロセスを検討してほしい』という感じで要望が寄せられるケースが多いですね。それに対し、シミュレーションソフトを使って、画面上で検討作業を行っていきます。プロセス技術はプラントの一番ベースになる部分で、プロジェクト全体をまとめていくためにも基礎となる知識です。
実は私は、プロセスの実務を始める前に、先輩と2人で1年ほど日本石油精製に研修で出向いていました。シャットダウン・メンテナンスは、あくまでも停止している状態のプラントが対象になります。しかし、プロセスエンジニアとしては、稼働中のプラントについてもよく知っておくことが大切ですし、そうすることで既設プラントのプロセスを変更する際にも一歩先を進んだ対応ができます。私にとっては、生のプラントに接したことが貴重な経験になるはず。技術者のスキルアップのためにいろいろな経験を積ませてくれる会社なんです」
設計ディレクター
当社が設計技術者のことを、“設計ディレクター”と表現するのは、基本設計を中心に手がけているため。既設プラントでは、設計上の条件が限られていることもあり、技術者がさまざまなアイデアを考えながら、ニーズを満たすような仕様をまとめていくことになります。こうしてできあがった基本設計をもとに、外部の設計会社に詳細の製図作業を依頼し、最終的な図面が完成します。そのため技術者の仕事は、コンセプトワーク、プランニング、コストコントロールといった業務が主体になっているわけです。 一方、7年前からはCADを導入。既設プラントの改修設計や補修が多い当社にとって、CADの活用はスムーズな設計のために大きなメリットを持っています。現在はCADのデータから必要な資材の発注、見積もりデータの作成までを可能にするシステムを導入していく計画で、設計ツールのより一層の充実を図っています。このあたりは、ソフト開発を担当する関連企業を有している当社の強みでもあるのです。
プラントには、あらゆる分野の
先端技術が結集されている
設計部は配管、貯漕、機器、土建の4グループから構成されています。このほかにも電気・計装部があり、それぞれのグループが専門性を発揮。各グループ間での連携を持つと同時に、プロセス技術部とも密接なコミュニケーションを交わしながら、設計作業が進められます。一つのプランができあがると、今度は実際の工事を行う工事部門へと移行し、施工管理技術者が現場でのメンテナンス工事をマネジメントしていきます。時には設計ディレクターやプロセスエンジニアが現場へと足を運ぶこともあります。
こうしていろいろな分野の技術者が一体となって初めて、プラントの総合的なメンテナンス・エンジニアリングが展開できるわけです。当社は複合的な技術を持つだけに、技術者にとって見れば、それだけたくさんの技術フィールドが用意されていることになります。その意味では、あらゆる専門分野の技術者が、必ず自分の適性を見つけていける会社ともいえるのです。
あれこれと考えて設計したものが、
やがて形になり、動き始める
「入社以来、設計部の配管グループに所属しています。配管を設計する際には、送る材料や量、距離、送り方、あるいはポンプの能力といったさまざまな条件があり、これらの条件を踏まえたうえで配管の仕様を決めていきます。ですから検討作業のウエイトが大きいですね。その際には、サイズや形状、材質だけでなく、実際の工事のしやすさ、さらに後々のメンテナンスのしやすさなどにも配慮しながら仕様を考えていきます。
私がこれまでに担当したものの中に、川崎市にあるプラントの配管設計があります。これは既存のプラントが全体の能力向上を実現するために、部分的に小規模なプラントを新設するという計画でした。工事の期間を入れてもおよそ4カ月という短期間の仕事でしたね。またプラントの中では非常に小規模な仕事だったけですが、自分であれこれと考えながら設計していったものがだんだんと形となり、やがて稼働をはじめた時には充実感がありましたね。
自社内に研究開発部門を持ち、
多様な技術テーマを追求
当社は、自社内に研究開発セクションを持ち、多方面にわたるテーマをについて研究開発に取り組んでいます。しかもメンテナンス・エンジニアリングの企業としては珍しいほど、研究開発に予算と人材を投じています。具体的には、基本設計以前のプロセス開発や、原油の物性をコンピュータで計算して新しいプラントを研究していこうという動きから、エレクトロニクス技術を応用した回転機械の振動を検査する機器の開発、超音波ボルトゲージによるボルト締結管理、熱エネルギーを最大限に利用するための加熱路のプロセス設計などまで、多方面にわたるテーマに取り組んでいます。このところ、とくに力を入れて進めているのが、現場のメンテナンス作業の自動化・省人化を実現するような機器・システムの開発です。この分野では実績の豊富な欧米にも目を向け、イギリスの機器メーカーと提携。互いに人的・技術的な交流を図りながら、新しい機器・システムを開発しています。
若手社員であっても、
担当のテーマは本人に任される
技術開発のテーマは現場から吸い上げられたものが多く、あとは社内の改善提案制度を通じて寄せられたものがテーマとなることもあります。そして技術開発部では新人にも一つのテーマが与えられ、担当のテーマについては基本的に本人に任されます。入社2〜3年目の若手が数千万〜1億円以上の予算を申請することも珍しくありませんし、海外で開催されるプラント・ショーなどの視察にも積極的に若手を派遣しています。また制度としては確立されていないものの、大学のマスターコースを出て当社に入社し、2年間仕事をしてからドクターコースを修めた先輩もいます。このほかには「保守用診断システム」のように、自社で開発して、商品化されたものあります。これはプラント設備の振動検査で取り込んだ振動データを自動的に計算するソフトウエア。お客様が日常的な検査をする際に有効なシステムとして利用されています。形にとらわれず柔軟な姿勢で技術開発に取り組む。それが当社のポリシーなのです。
現場の作業を機械化する
機器の開発が活発になってきた
入社後はずっと技術開発部で、新しい技術に取り組んでいます。最近は若手が増えて、技術開発もパワーアップを果たしていますね。このところ活発になってきたテーマは、現場作業の省人化を目的とした機器・システムの開発です。プラントのメンテナンスでは、熱交換機に関する作業が大きなウエイトを占めているため、この部分の機械化はメンテナンスの全体的な改善に大きく結びついていきます。私自身は、熱交換機のチューブの抜き取り検査をする際、洗浄する機器を開発を手がけています。ほかには熱交換機カバーの取り付け・取り外しを行うアタッチメントの開発といった、ユニークな機器・システムも増えてきました。技術開発の場合は新しい技術に取り組むため、どうしても失敗がつきものです。埋設された配管を振動試験器で非破壊検査する研究など、私もこれまでにいくつか失敗を経験しましたね。ただ失敗をこわがらずに積極的に取り組んでいく姿勢が、やがて新しい何かを創り出す力になるのです。