独自の設計思想が
本当の意味で生かされる
時代が日本にも到来した
世界最高速のサーバ&ワークステーション、世界で一番薄いノートブックパソコン、新世代の高速CPU搭載のデスクトップ製品、従来のネットワークの制限を解消した新アーキテクチャの確立、そしてマイクロソフト社との業務提携まで。オープン・コンピューティングという潮流の中で、当社はその技術力を見せつけ、的確にマーケットを捉えている。
創業時から根底に流れる
独自の設計思想
「コンピュータはタイプライタのように実用的で身近な道具であるべき」。当社の創業者の考え方である。高性能なパソコンやワークステーションが登場する以前、大型機が全盛だった頃のコンピュータといえば、値段も高く、専門家だけが使えるものだった。ところがそうした時代に、当社が初めて開発した機種は、小型で使いやすく、他社製品の一〇分の一ほどの価格だった。まるで、当時の流れに逆らうかのように、「小型化・分処理」という方向を打ち出したコンピュータだったのである。当社独自の設計思想は、まず研究者や技術者から支持を受けた。さらにビジネス分野へと領域を拡大、世界一〇〇カ国におよそ八〇〇の拠点を持つ総合コンピュータメーカとして歩むようになったのである。
こうした設計思想を継承し、アメリカに次ぐコンピュータの巨大市場で、トータル・ソリューションを提供しているのが当社である。国内のコンピュータシステムを取りまく環境は変化し、ダウンサイジングやオープンシステム、LAN構築を中心にしたネットワーク・コンピューティングなどが大きな潮流をなしている。これは本来、当社が最も得意としてきた分野だ。早くから機種やOSに縛られないコンピュータ環境を提唱してきた当社は今、「オープン・クライアント/サーバ・ソリューション」という概念を打ち出している。エンドユーザのメリットを何よりも重視し、最適のクライアント/サーバ・システムを提供する当社に、改めて注目が集まっている。
技術力に裏付けられたワークステーション、 パソコン分野の躍進
当社は先進的な技術力をもとに歩んできた企業である。サーバ&ワークステーション「Alphaシリーズ」に搭載の「ビットRISC Alphaチップ」は業界で初めて、ワンチップで1BIPS(一秒間に一〇億回の命令実行回数)を実現。世界最高速のCPUとして高い評価を獲得している。当社自身のOSであるOpenVMS、UNIX、WindowsNTという標準的な3つのOSをサポートしていることとも相まって、九四年のAlphaシリーズの売上はDECグループ全体で一六四%も拡大した。
そして、当社で忘れてはならないのが、九三年に新設された「PC事業本部」の躍進である。PCでは後発になるのだが、その技術力は鋭いインパクトを放っている。九四年には厚さ三〇・五ミリという世界で一番薄いノートブックパソコン「Digital HiNote Ultra」を発表。デスクトップ製品でも、高性能CPUを搭載したDigitalPCシリーズを送り出している。DEC製品はもともと企業ユーザから高い評価を受けてきたが、ここにきて一般ユーザ向けの分野でも大きくシェアを広げることになった。また、当社の製品はグラフィックスとネットワークに強く、日本のネットワーク・コンピューティングの広がりを考えれば、今後も急激に販売台数を伸ばしていくことが予想できる。実際、DigitalPCの売上は、九四年には対前年比三九〇%、九五年も一七〇%という勢いで急拡大。PC事業本部の躍進に象徴されるように、当社は好調な業績を実現。九五年六月期には2年連続で増収増益を果たしている。
コンパック・コンピュータ社、
マイクロソフト社との業務提携が示すもの
複雑化するユーザニーズに応えていくためには、1社だけで単独の仕事をしていてはむずかしい。米社では、そうした考えのもと、九五年八月に米マイクロソフト社と業務提携。日本法人同士の提携も実現した。続いて、一〇月にも米社が米コンパック・コンピュータ社と、世界の企業ユーザ向けサービス・技術支援に関する提携を結んだ。ハードウェアメーカであるコンパック社とは本来、競合関係にある。が、現在はユーザのシステムが複数のメーカの機器によって構成されるようになっているため、メーカ同士が協調し合うことで、ユーザに大きなメリットを提供することができる。積極的な業務提携には、新しい時代のコンピュータメーカのあり方が示されているのである。
人を尊重する企業理念、
〟HONESTY〝
これまでの紹介でわかるように、当社が創業以来貫いているのが、製品開発やサービスなどのすべてを「ユーザ」のために「誠実」に取り組むことである。当社の経営理念の根底には、常に〟HONESTY〝という言葉が流れている。
HONESTYという理念は社内環境づくりでも徹底され、随所に人を大切に考える企業姿勢があらわれている。たとえば米社には、社長専用の駐車場はない。役職に関係なく、出社順に駐車場の奥から車を止めていく。そして出入口の近くは、お客様やハンディキャップのある人のための駐車スペースになっている。当社でいうと、管理職を呼ぶときにも肩書きで呼ばず、「さん付け」である。また、社員研修にも力を入れており、エンジニアの労働時間の一〇%〜一五%は研修にあてられている。WindowsNT、オラクルといった数々のトレーニングが設けられ、最新の技術や情報を吸収していく環境が整っている。
上下関係のない風土、人を尊重する姿勢こそ、当社創業以来の伝統なのである。