世界最速CPUの先進技術を発揮すると同時に、
新しい時代のコンピュータメーカのあるべき姿を追求する

 世界最高速のCPUを搭載するサーバ&ワークステーション、世界で一番薄いノートパソコンなど、独創的な技術力を発揮する世界の企業。その中にあって、当社は、アメリカに次ぐコンピュータの巨大市場・日本でトータル・ソリューションを提供している企業です。95年6月には2年連続の増収増益を果たすなど、好調な業績を実現。現在は中期経営計画を掲げ、さらなるパワーアップをめざしています。

独自の設計思想を貫く、
総合コンピュータメーカ

 当社が設立されたのは1957年のこと。以来、創業者の考えである“コンピュータはタイプライタのように、実用的で身近な道具であるべき”という独自の設計思想を貫き、小型で、安く、使いやすいコンピュータの開発に取り組んできました。価格も高く、専門家が使うものというイメージがあった大型機の時代に、当社が初めて開発した機種は、小型で使いやすく、他社製品のおおそ10分の1という価格で登場したのです。その後も、世の中のコンピュータは集中処理方式という方向を進みましたが、DECがめざしたのは高性能なミニコンピュータを各部門に設置してリアルタイムネットワークを構成するという方向。創業当初から、最近の主流である分散処理方式を追求してきたわけです。
 こうした独自の設計思想は、まず大学の研究室や企業の研究所といった科学技術分野を中心に評価を受け、AIや宇宙開発などの分野に大きく貢献しました。さらに、ビジネスの分野へと領域を広げ、今では世界100カ国におよそ800の拠点を有する総合コンピュータメーカとして、ワールドワイドな事業を展開しています。

アメリカに次ぐ、
コンピュータの巨大市場を担当

 1968年に開設された日本支社。これが当社の前身です。その後、1982年に日本法人となりました。その使命は、アメリカに次ぐコンピュータの巨大マーケットを受け持ち、国内ユーザの要求に合った製品やシステムを提供していくこと。世界のグループの中でも、きわめて大きな役割を担っているのです。
 今、コンピュータシステムは、ダウンサイジングやオープンシステム、LAN構築を中心にしたネットワーク・コンピューティングが大きな潮流をなしています。これは、早くから機種やOSに縛られないコンピュータ環境を提唱してきた当社が、最も得意とする分野であり、現在は“オープン・クライアント/サーバ・ソリューション”という概念を打ち出しています。当社の製品はグラフィックスとネットワークに強く、国内のネットワーク・コンピューティングのニーズが急拡大する中、ユーザのメリットを重視したトータル・ソリューションを提供しています。その結果、95年6月期決算では2年連続の増収増益を果たし、好調な業績を実現。今後も独自に提唱するテーマのもと、マルチベンダ・マルチプラットフォームの統合をめざしていきます。

世界最速のチップに代表される当社の先進技術

 当社の技術力の高さを示す好例が、サーバ&ワークステーションシリーズに搭載されているチップです。これは、業界で初めてワンチップで1BIPS(1秒間に10億回の命令実行回数)を実現。世界最高速のCPUとして高い評価を獲得しています。また、1994年には厚さ30.5mmという世界で一番薄いノートブックパソコンを発表。高性能CPUを搭載したデスクトップシリーズなど、パソコン関連でも次々と画期的な製品を送り出しています。こうした先進の技術力を背景として、ワークステーション・パソコン関連のビジネスが、好調な業績の原動力となっています。

日本支社独自の、
中期経営計画を策定

 当社では、95年11月に3カ年の中期経営計画を策定しました。これは、グループの世界共通のビジョンをベースとして、当社が国内のビジネス環境に適合した独自の経営ビジョンとしてまとめたものです。ビジョンの中核をなす経営方針としては、①Best-in-Classへの挑戦(High Marcket Share)、②成長性・生産性の向上(High Profitability)、③「つながり」重視の経営(High Organization)という3つの項目を掲げています。つまり、マーケット・セグメンテーションによって主要なマーケットでトップの座を確立し、収益性の強化を図り、そしてユーザや株主、ビジネス・パートナーなどとの関係を充実させていこうという内容です。こうして計画終了時には、社員数3200名、売上高2000億円という規模へのパワーアップをめざしています。

コンピュータ業界の
有力企業とのパートナーシップ

 前述の経営方針の実践するものとして、とくに顕著な形となって表れているのが、コンピュータ業界の有力企業とのパートナーシップです。95年8月には、米国支社と米国M社との業務提供を発表し、日本法人同士の提携も実現しています。また、95年10月には、米国支社が米国K社と世界の企業ユーザに向けたサービス・技術支援に関する提携を結んでいます。
 ハードウェアメーカであるK社とは本来、競合関係にあります。しかし、複数のメーカの製品が複雑にからみ合ってユーザのシステムが構成されている現状と将来を考えれば、自社製品のシェア拡大だけに目を向けるのではなく、むしろメーカ同士が協調して歩んでいくことが重要になってきます。さらに当社では、自社製品が導入されていないユーザのシステムサポートにも積極的に取り組んでいます。先端技術を開発すると同時に、こうした業界内の“つながり”を大切にした展開を図っていく。これは、ユーザのメリットを真剣に追求していることの表れであり、新しい時代のコンピュータメーカのあるべき姿を示唆するものといえるでしょう。

サービス
インテグレーション

 私が所属するサービスインテグレーション技術部は、システム提案を担当しているセクションです。中でも、私たちが対象にしているのは“ユーザの現状のシステム”であり、その中でより良いシステムを提案していくことになります。ユーザが何か問題点や不満を持っているとき、それがハードやソフトのトラブルなら、カスタマーエンジニアが対処します。そうではなく、システム構成やその運用面に問題があるときに、SI技術部に依頼が来るわけです。
 仕事はまず、ユーザの細かな現状分析から入っていきます。パフォーマンスアナライザで調査し、モニターツールを仕掛けてデータを取得・診断していきます。このデータをもとに、ハード、ソフト、運用方法など、どこに問題があるのかを分析していきます。分析だけで1〜2ヶ月ほどの期間を要することも多いですね。そして運用方法に問題があれば、運用設計に関する提案をしていきます。たとえば、障害箇所を診断するツールや、ボリュームバックアップツール、フラグメンテーション解消ツールなど、運用支援のツールを含めて、ユーザが常に最適の状態でシステムを活用できるようにさまざまな提案をしていくわけです。
 また、この仕事の面白さは、現在使われている状態のシステムを詳しく知ることができる点にあります。他ベンダーのハードやソフト、ネットワークまで、一つの限られた分野だけでなく、幅広い発想でトータルな知識が身につけられるところが魅力ですね。

ネットワーク
監視システム

 現在は、「ネットワーク監視システム」の開発プロジェクトに参加しています。これは、通信事業に取り組むユーザのネットワークシステムを全般的に監視していくシステム。通信が間違いなく行われているかどうかを監視していく機能や、計測を行う機能、それに全体的なシステム運用の機能などを備えています。開発自体は2年前から始まり、私は1年前から参加。今後も2年ほどは開発が進む計画で、長期にわたるプロジェクトになっています。
 私は、入社前にはコンピュータの専門知識を持っていなかったため、SEという仕事には期待とともに不安もあったのです。しかし、実際に入社してみると、思った以上にエンジニアのトレーニングが充実していて驚きました。入社1年目はトレーニングセンターで基礎的なことから学び、その後は仕事を通じて知識を吸収。2年目からは、とくにクライアント/サーバシステム全般の知識習得をめざすようになりましたね。
 また、仕事は自己管理を基本に進めていくので、トレーニングセンター開かれているさまざまな研修コースの中から、自分の好きなものを好きなときに受けられるようになっています。コンピュータに関する技術は移り変わりが激しく、新しいOSやネットワークOS、ハードウェアも次々と生まれてきます。そのため、絶えず勉強し、新しい知識を吸収していくことがSEにとって大切です。その点、当社には、最新の技術情報や知識をいち早く吸収していく環境が整っていると思います。