同社は、宇宙開発、ディフェンス、通信といった高度な技術分野に取り組んでいるシステムズ・エンジニアリング企業。この3分野で豊富な実績を持つ三菱スペース・ソフトウエアを母体に誕生しただけに、その技術力は生まれながらにして確かだ。また、多分野への技術の応用にも積極的で、ビジネス系ソフトやゲームソフトの開発、あるいはマッキントッシュの販売などまで、同社の事業領域は次々と広がりを見せている。

1989年、「先進の」をコンセプトに
誕生したシステム企業

 日本の宇宙開発におけるパイオニアとして、国産初のH−Ⅱロケットをはじめとするプロジェクトで重要な役割を果たしてきた三菱スペース・ソフトウエア。当社は、そのシステムズ・エンジニアリングをソフトウェア開発分野で支援する企業として誕生した。宇宙開発、ディフェンス、通信という3つの技術分野を中心として、高度なソフトウエア技術を他の分野にも応用。ビジネス系ソフトやゲームソフトの分野にも進出し、幅広い領域で開発活動を繰り広げている。社名の“アドバンス”には「先端の」「先進の」という意味があり、未来の扉を開く技術集団としてのポリシーが込められている。

宇宙開発、ディフェンス、通信の
3分野を核にしたソフトウエア技術

 96年8月、国産最大級のH−Ⅱロケットによって打ち上げが予定されているADEOS(ADVANCED EARTH OBSERVING SATELLITE/地球観測プラットフォーム)。これは地球の観測データを地上に送ることを目的とした人工衛星である。NATでは、三菱スペース・ソフトウエアとともにこの国家的プロジェクトに参加。地球環境の現状をきわめて詳細に観測し、近未来の対処方法を検索するという、ビッグスケールの開発活動を展開している。
 通信関連の分野では、各地の交通管理センターに集められた道路情報を、自動車に搭載されたナビゲーションシステム(VICS対応)に提供する「交通管制システム」がある。また、通信地上局用、通信衛星管理局用ソフトウエアや、LAN機器用ソフトウエアの開発などまで、その技術は幅広い範囲にわたっている。  さらにディフェンス分野では、防衛庁をメインクライアントに、3次元レーダーシステム、戦略・戦術の意思決定システムであるC3I(シー・キューブド・アイ)、戦略・戦術のシミュレーションシステムなどで、多彩な技術を発揮している。