ネットワークは
将来性がある、と
確かに聞きましたが、
本当ですか?

1991年。
設立の年に秘められた深い意味

 当社の設立は1991年3月のこと。今から5年前の“1991年”という年は、実は日本にとって一つの大きな変革の年でもあった。それまでのコンピュータ環境は汎用機全盛の時代が続き、LANのようなコンピュータ・ネットワークはあまり一般には広まっていなかった。ところが、ハードウエアのダウンサイジング、相互互換などが進んだことで、それらを結ぶ“ネットワーキング”という発想がビジネス分野で注目を集めるようになった。産業界では“1991年”を“ネットワーク元年”と位置づけるまでになり、ここから国内のネットワーク市場が爆発的な伸びを始めたのである。
 “ネットワーク元年”には、将来のネットワーク市場の伸びを予測するさまざまな企業が、新たなビジネス展開の可能性を感じていた。そうした中、3つの有力企業が、互いに手を結ぶことになる。A社は早くからネットワークビジネスに着目し、ネットワーク関連のビジネスを進めていた。B社は総合商社として広範な情報力を持ち、ネットワーク分野での具体的な事業を模索していた。そして、大型コンピュータなどのインターフェイスをはじめ、ネットワーク分野で豊富な実績を持つC社。3社の思惑はジョイントベンチャーという形で結実し、3月1日には共同出資でネットワークの新会社を設立した。ここで生まれた新会社が、当社なのである。
 当社は設立以来、ネットワーク商社として、ネットワーク構築に必要なハード・ソフト製品の流通、コンサルテーション、テクニカルサポート、ネットワーク技術者の教育事業まで、広範囲にわたるビジネスを展開。社名通り、ネットワーク・コンピューティングに関する幅広いサービスを提供し続けている。そして、国内のネットワーク・コンピューティングの発展に貢献していく。そんな大きな使命を担っている。

流通、サービス、
そして教育

 当社の事業方針を示すものとして、“VAD(Value-added Distributor)”という言葉がある。これは、製品販売、サービス、技術者教育という3つの事業を柱に、それぞれの部門が密接な連携を図りながら付加価値の高いビジネスを展開していこうというものだ。
 ネットワークOSの主要製品としてはN社やM社の製品があげられるが、当社はN社認定ディストリビュータであり、M社のソリューション・プロバイダーでもある。ディストリビュータ(流通企業)として、これらのネットワークソフトをリセラー(販売店)に販売。同時に、アプリケーションやネットワーク周辺機器なども扱い、ネットワーク・コンピューティングのコンサルティングに取り組んでいる。
 もちろん製品販売だけでなく、販売店に対する技術サポートも守備範囲である。技術部門では各種製品の技術サポートに加え、多種多様なハード・ソフトの新製品の動作検証にも着手。世界の最新情報や先端技術をいち早く吸収している。
 このほか、東京と大阪に教育センターを開設。ネットワーク技術者の育成を進めている。このほか、マイクロソフト社、ジャストシステム社などの製品も含めて、導入から運用までの教育とコンサルテーションも推進。当社独自の教育メニューによって、パソコンLANのシステムインテグレーター養成、販売店教育、ユーザー教育などまで、幅広い技術者教育ビジネスに取り組んでいる。

マルチベンダーであり、
ネットワーク専門企業でもある

 ネットワーク元年以来、国内のネットワーク市場は一気に1500億円規模へと急拡大してきた。今なお毎年2倍近い勢いで成長中で、最近ではインターネットなど広域ネットワークのニーズも高まってきた。マーケットは大きく裾野を広げ、近い将来には5000億円規模の市場へと成長していくことが確実視されている。国内のパソコンのネットワーク化率はまだ40%。ネットワークの先進国・アメリカではすでに75%という水準にあり、この数字からも国内のネットワークビジネスの将来性が理解できるはずである。
 当社は、こうしたフォローウインドを受けながら、毎年40%以上の急成長を続けてきた。設立から5年を経て売上高は4億円から28億円へ、社員数も11名から50名へと拡大。ビジネス領域は、LANからWANや広域ネットワークへ、そしてLANと広域ネットワークを融合したものへと大きく広がっている。今後の5年間も成長率40%という勢いは変わらず、数年後には売上高100億円を突破する予定である。
 ただし、当社の躍進は何も業界のフォローウインドウだけに支えられてきたわけではない。むしろ、当社ならではの“成長力”を持っていることが大きい。コンピュータを取り巻く環境は進化を遂げ、さまざまなメーカーのハードウエアが複雑に絡み合って一つのユーザーシステムが構成されるようになった。今、システム構築のキーワードになっているのは、“マルチプラットフォームの統合”なのである。その点、当社は、どこのメーカー系列にも属さないマルチベンダーであり、中立的な立場から最適なシステムを考えていく有利なポジションにある。また、ネットワークに特化した専門企業でもあり、ネットワーク・コンピューティングに関する技術ノウハウや情報力は、業界随一といえる。マルチベンダーであり、なおかつネットワーク専門企業である点に、当社の最大の強みがあるわけである。

24歳。ネットワーク技術者
としての充実感

 当社の技術部。ここでは、リセラーに対する技術サポートから、新製品などの動作検証と情報収集、営業活動の支援として製品のデモンストレーションやプレゼンテーション、そしてリセラーやユーザーの技術者教育まで、幅広い業務を担当している。彼は94年4月に入社して以来、技術部に所属。ネットワーク技術者として3年目を迎えた。
 「仕事のメインは技術サポートですね。リセラーから寄せられる問い合わせに応えていきます。エンドユーザーのサポートはリセラーが行っていますから、技術部に入ってくるのはリセラーが解決できないもの。『なぜかサーバの電源が突然落ちる』といった感じの問い合わせが多いですね。あとは、製品のテストも行っています。こちらのほうは新製品やバグフィックス版の動作を検証し、レポートにまとめていくという仕事です」
 技術部は情報基地でもある。サポートを通じてユーザーの情報が入ってくる。動作検証ではソフト・ハード両面にわたって数多くの新製品に触れることになる。ネットワーク技術者として、世界の最新情報や先端技術をいち早く吸収できるという面白味があるわけだ。

教育事業が
躍進していく予感

 技術部では、リセラーやエンドユーザーに対する技術者教育も手がけている。東京、大阪にそれぞれセミナールームがあり、メーカーの認定教育から当社独自の教育メニューまで多彩なコースを開講。彼女は、技術部でこうした教育事業のアシスタント業務を担当している。
 「私が担当しているのは、技術部の中の事務的な仕事です。問い合わせがあった受講希望の人に請求書や受講票を送付したり、コース終了後に渡す修了証を作成したりということが主体。あとは、CNIの人のアシスタント業務ですね」
 CNIとは、CNEを養成するインストラクターの資格である。国内ではまだ100人しか取得していない資格で、当社にはこのCNIが13人いる。実に、日本中のCNIのうち、10人に1人は当社の社員という計算になるわけだ。
 また技術部では、教育だけを手がけるのではなく、同じ部内で製品のサポートやテストも行っている。そこから得た生の情報や体験が教育の場でダイレクトに生かされているため、セミナーの内容に対しては高い評価を得ている。
 「当社は、認定教育センターにもなっています。こうした認定教育では、標準のテキストやマニュアルが受講者宛に送られてくるんですが、理解を深めていただくために、当社が独自に編集・制作した副読本を受講者にお渡ししています。副読本はセミナーのたびに人数分を作成していて、これも私の仕事です」  このほか、95年からは、新たに教育コースのテストセンターとして、認定試験業務にも取り組み始めた。

1本の線の可能性。
そこに魅力を感じた

 「就職セミナーで社長からネットワークの話を聞いて、『すごい!!』と思ったんです。とにかく、いろいろなパソコンが1本の線でつながるというのが不思議で、そこから興味を持ちましたね」  そう話すのは、営業部の彼。入社前はコンピュータの専門知識もなかったし、授業でも単体としてのパソコンを使っただけだった。違う機種のパソコンがつながる。そんなネットワークの可能性にひかれて入社を決意したという。
 「日頃の活動は、リセラーへの販売が基本になっています。当社からリセラーへ納入した製品が、さらにエンドユーザーへと届けられていくわけです。新製品が出るとセミナーや展示会などを通じて広くアピールし、その後、営業マンが担当のリセラーに対して細かいフォローを展開していくという流れになっています。ただ、当社は社内の連携が密接で、月1回は連絡会議があり、企画部や技術部と一体となって流通やサポート、システム提案までを手がけていくという感じです。とくに技術部門のサポート体制は強力で、リセラーに安心感を持っていただくための大きなポイントになっていますね」
 彼の場合はまだ若手であり、大手のリセラーを担当しているため、リセラーから注文があった製品を販売するという“流通”が主体になっている。キャリアを積んで、一通りの知識を吸収したあとは、エンドユーザーの情報を素早くつかんで、こちらからアクションを起こしてシステム提案を展開していくという活動が主体になっていく。当社では営業マンのCNE取得も必須と考え、技術者レベルの知識をもとに質の高い営業・提案活動を展開しているのである。
 彼が今、感じているのは、「ネットワークの進化の速さ」だという。性能や価格も刻々と変化する。常に流れをつかんでおくために、毎日の情報収集や勉強が欠かせないという。

自分で自分の
仕事の幅を広げていく

 当社は、若手であっても重要な仕事をどんどん任せてしまう。それに応えて、社員のほうも自分から仕事を積極的に開拓していく。入社以来、企画部で広報・宣伝活動を中心に次々と仕事の幅を広げているのが彼女である。
 「そもそも広報と宣伝を1人で両方担当できる会社は少ないと思うのです。それも、展示会やイベントの企画から、リセラーさん向けの情報提供、教育事業を中心としたコンピュータ雑誌への広告掲載、カタログ作成まで、とにかく1人でいろいろな仕事に携わっています。当社は、それだけ一人一人の役割が大きい会社なんです。たとえば、95年7月に幕張メッセで開催されたイベントは、最先端のネットワークシステムに関する出展が多く、当社にとっても大切なイベントです。こうした重要なものについても一貫して任され、外部のイベント関連企業や社内の各セクションと調整を図りながら、出展内容の企画から具体的なブースのデザインまでを担当していくわけです」
 多くの仕事を担当しながらも、プレッシャーに圧倒されないのは、会社が前向きな失敗に寛容で、何にでも積極的にトライしていく風土があるからだという。社員の失敗は、確かに会社にとってはマイナスである。が、失敗ほど、社員を成長させるものも少ない。失敗から多くのことを学び、社員が成長してくれるのなら、長期的には会社にとってもプラスになるはず。人材力を武器にする当社は、そう考えているのである。
 「最近では、会社案内や教育事業の案内などを盛り込んだインターネットのホームページづくりも行いましたね。また、昨年には社内報の発行を提案し、なんとか10月に第1号を発行することができました。今後は月1回のペースで発行し、いずれは社外報へと発展させていきたいと考えています」

個を尊重する
当社の企業文化

 当社の創業メンバーとなった11名は、いずれも出向社員であった。互いの企業文化を持ち寄る形になったのだが、新会社設立にあたって彼らには共通したスタンスがあった。それは、お互いの企業文化を押し通すのではなく、当社という新しい企業をゼロから創り上げていくことであった。新たなフィールドでオリジナルの企業文化を育てていく。メンバー全員がそんな意気込みにあふれていたのである。そのため、当社には“資本系列のカラー”がほとんどなく、その風土は独自性に満ちている。現在では社員数も50名規模に達し、出向社員はわずか4名に過ぎないが、彼が手づくりで形にしてきた企業文化は、その後入社したプロパーの社員の手によって確実に受け継がれ、より一層の“当社らしさ”もつけ加えられてきた。
 こうして形成された当社の風土。その根底に流れているものを言い表すなら、“個の尊重”という言葉になるだろう。経営方針の一つには“組織は個人のために、個人は組織のために”という項目が掲げられ、人を中心に考えた企業経営が貫かれている。当社のビジネスは、流通、技術、教育といずれの分野でも、人の能力によるところが大きい。たとえばシステム提案一つを見ても、営業マンそれぞれの能力によって提案の内容は変わってくるし、その提案が当社の商品力になるわけだ。人材力こそが会社の強みであり、個を尊重する姿勢が貫かれているのも当然のことなのである。
 一方、ネットワークの世界では新人のアイデアが大きなビジネスにつながる可能性も秘めている。だから、新人であっても、社員の個性を押しつぶすようなことはしない。むしろ逆に個性を十分に発揮してほしいと考えている。また、新人からトップまでの距離が短いことも、当社の特徴の一つである。誰もが気軽に社長と話ができ、自分の意見を提案できるようにとの考えから、社長室のドアはいつでも開いたままになっている。社内では、役職者のことを“社長”“部長”といった役職名では呼ばず、新人が社長を呼ぶときも「○○さん」と、“さん付け”である。こうした上下関係の柔らかい雰囲気も、当社の根底に流れる企業風土の表れなのである。

入社式の直後に渡される、
経営計画書

 企業としての成長を実現していくために必要なのは、“会社のビジョンを明確に描いて、それを全員で共有すること”である。当社ではこの企業姿勢を貫き、キャリアを問わず社員1人1人に経営計画書を渡している。それも新入社員の入社式の直後に、である。バインダーで綴じられた分厚い経営計画書の中には、①CS(顧客第一主義)、②革新、③重点主義、④環境整備、⑤利益確保という5つの経営方針のほか、会社の将来ビジョンや重点方針、短期・中長期の経営計画などが盛り込まれている。細かくいえば、売り上げや利益などの実績データはもちろん、通常なら一般社員が目にすることがないような経費細目や資金繰り、借入計画表といった財務資料までが記載されているのである。
 新入社員といえども、中堅から管理職へと成長し、将来は会社の経営を引っ張る人材へ育っていってほしい。トップから新入社員までが会社の情報を共有することで、全員が会社のことをきちんと理解し、日常の業務での適切な行動と判断に役立ててほしいと考えているのである。当社のガラス張りの経営はそんな観点から生まれたものであり、単に表面的なデータの公表だけを意味していない。これは、社員に対する期待の大きさを示すものでもあるのだ。

自分のアイデアで、
プロジェクトをつくる

 当社には、“起業家精神”を発揮するチャンスも大きく広がっている。たとえば、日頃の仕事を通じて、ニュービジネスや新しい研究テーマ、社内の業務改善などまで、何かヒントが浮かんできたとする。そうしたアイデアを、会議で提案できるようになっているのだ。会議で将来的な可能性が評価されれば、即座にプロジェクトとして発足し、専門的にそのテーマを追求していくことになる。もちろんプロジェクトの推進役になるのは、アイデアを提案した社員である。プロジェクトメンバーは社内公募などにより、営業、技術、企画、管理という組織の枠を超えて、各セクションから希望者や適任者が集められる。専門知識を持ったスペシャリストが必要な場合は、社内の技術セクションから応援スタッフが出されるという仕組みだ。
 こうした体制のもと、社員の発案によってこれまでに数多くのプロジェクトが誕生してきた。その代表としては、“コミュニケーション・システム・プロジェクト”があげられるだろう。これは、社外とのコミュニケーションを図るインターネットと、社内のコミュニケーションを図る各種のグループウエア、電子メール機能などを融合。広域ネットワークと企業内ネットワークを統合的に使えるような環境をつくっていこうというプロジェクトである。20代の女性社員の提案によってプロジェクトがスタートし、今では新しいサービスとして事業化するところまで進展している

プロフェッショナルを育て、
BEST COMPANYであり続ける

 社員の成長が会社の発展の必要条件であり、会社の発展が社員に幸福をもたらす。当社が、人材育成のポリシーとして掲げているのは、社員の自主性の重視である。優れた研修カリキュラムも、社員が意欲をもって取り組んで初めて生かされるもの。会社から一方的に研修を与えるのではなく、社員の自発的な研鑽のバックアップに徹していこうと考えているのである。
 新入社員研修としては、入社後1ヶ月間の導入教育があり、ここで会社の概要や製品について基礎的な知識を吸収する。その後は、全員が営業部に配属され、営業実習を通じて製品知識やリセラー、ネットワーク業界全般についての知識を深めていく。そして、6月から本配属となるわけだが、ここまでの2ヶ月間が唯一、全員一律の研修カリキュラムである。配属後はすべて個別対応スタイルの研修であり、必要なときに、必要な知識や技術を得てもらうというカリキュラム構成になっている。また、社員の自己研鑽を支援する制度として、自己啓発支援制度を確立している。直接、自分の仕事に関係のないことでも、年間の研修費用の半額(上限10万円まで)を会社が負担するというもの。こうというもの。技術部では、英文の文献に接する機会が多いため、英会話の習得などに利用されている。
 当社の理想は、“BEST COMPANY”。一人一人がプロフェッショナルであり、部長クラスの行動力と判断力を持つような精鋭集団の形成をめざしているのである。