専攻にとらわれない人材活用を実施、
文科系出身のエンジニアや
理工系出身の営業マンが大勢活躍中
営業職に憧れる
「私は、一日中ずっと机に向かって研究をしているのが苦手なタチだったんです。だから仕事は初めから営業職を志望。できれば理工系の知識が生かせる分野がいいと思っていました。それで、コンピュータ関連の営業職を選んだわけです」
これは、電子情報工学を専攻していた内藤誠の入社の動機。その希望通り、入社後には東京訪販営業部に配属され、ターミナルプリンタなどの周辺機器の営業を担当することになった。彼が取り組んでいるのが、社内で“訪販営業”と呼ばれている代理店に対する営業。企業ユーザーに製品を納入しているOA商社などに向けて、製品をPRしていく仕事である。
売りやすくする、
それが営業の仕事
配属から2ヶ月後には、先輩から何社かの顧客を引き継ぎ、1年目から大手の代理店3社の担当になった。
「私たちが直接エンドユーザーに製品を売るのではなく、代理店の人に売ってもらうわけです。どうしたら製品をより多く売ってくれるのかを考え、代理店の営業の人が売りやすい環境をつくっていくことが、私たちの仕事なんです。
たとえば、よく知っている製品は、エンドユーザーの質問にも十分に応えられるから自然と売りやすくなります。だから、製品をよく知っている人になってもらうことが大切なんです。そこで、製品の情報などをきめ細かく提供していくことが基本になります。また、製品の勉強会などを代理店で開いて、詳しく理解してもらうことに努めています。あと、自分でカラープリンタを使って“ニュース”を作っていて、いろいろな情報を盛り込んで代理店に配布しています。
新人とはいえ、担当のお客さんに対しては自分であれこれ考えて進めていけるので、うまくいって代理店が販売実績を伸ばしてくれたときには、充実感がありますね」
入社して初めてパソコンにさわる
「今は技術者みたいなことをしていますが、実は入社するまでパソコンにさわったことがなかったんですよ」 これは、入社以来、製品サポート課で周辺機器の技術サポートを担当している高木亮の言葉だ。
「エンドユーザーのもとでトラブルが発生すると、まず代理店や当社のインフォメーションセンターが対応します。また、代理店向けのサポート部門もあって、たいていのトラブルにはそこで解決できるんです。それでも解決できなかった問題が、私たちの製品サポート課に寄せられてくるわけです。ですから、カタログに載っていないことや、接続されているのになぜか動かないという感じの問い合わせが多いですね」
専門知識は、どんな仕事にも必要
「最初は全く知識がなかったので、わからないことは自分で調べたり、周りの人に聞いたりして覚えてきました。技術サポートいうと難しい仕事のように思われますが、どんな業界のどんな職種でも、仕事をするには専門知識が必要ですよね。それがたまたまコンピュータだというだけなんです。それにOSの仕様などは次々変わるので、理工系を出たというだけではダメ。新しい知識を吸収していくことのほうが大切なんです」
そして、製品サポート課には、ビフォアサービスという業務もある。これは、新製品などをテストをし、性能や動作の確認をしていく仕事。新しい機能などを評価し、メリットを自分で確かめる。さらに、最前線の営業マンやインフォメーションセンターなどに対して、技術的な教育を行っていく。
「また、設計開発部門とのつながりも強いですね。サポート部門で収集した情報は、ユーザーが実際に使っている場面での情報ですから、次の製品開発に大きく役立てられています。当社は、良い製品が出てくるのを待っているわけではないんですよ」
メーカーの販売部門の役割を担う
当社が誕生したのは、1983年のこと。設立してから今年で14年目、また社員の平均年齢も28.5歳という若い会社だ。その当社は、製造直系の販売会社であり、メーカーの販売部門としての役割を担っている。製品の開発・製造を行う会社と、実際に製品をエンドユーザーへと販売する代理店や販売店。この両者の間に位置し、カラープリンターをはじめとする製品の販売拡大を図っていく。エプソングループのマーケティング企業なのである。
マーケティング企業としての展開
当社が独立企業として存在している理由は、より専門的・戦略的にマーケットの創造に取り組んでいくことにある。どうしたらエプソン製品が売れるのかを探り、売れる仕組みをつくっていく。94年にはレーザープリンタなどハイエンド商品の販促のため、「ESPER」という新しい代理店網を組織。企業向けの販売の強化を図っている。また、市場の最新情報を収集し、製品開発にフィードバック。スピーディな製品の企画・開発に結びつけている。
数多くのファンを獲得
“カラー・ソリューション機器”。これは現在、当社が掲げているテーマ。カラーを切り口にした新製品を次々とマーケットに送り出し、カラーに対するニーズを積極的に掘り起こしている。たとえば、発売以来ヒットを続けているカラー・インクジェットプリンタは、10万円を切る価格で720dpiという写真に迫る画像を実現した製品。カラーイメージスキャナーなどとも合わせて、カラー製品の分野でトップクラスのシェアを獲得している。