今、クルマに対する人々の注目が、「安全性」に向いていることは間違いのないところだろう。同社は、ABS、ASR、VDCといったクルマのアクティブセーフティに関わるカーコントロールシステムを手がけている企業だ。合弁企業として設立されただけに、生まれながらにして高度な技術力を発揮。安全という形のないものを実現する技術には、各方面から期待が寄せられている。

アクティブセーフティに関わる
カーコントロールシステムを追求

 当社が誕生したのは、1984年のこと。N社とR社との合弁企業として生まれました。その設立目的は、クルマの「安全の先端技術」を追求し、ABSをはじめ、アクティブセーフティに関わるカーコントロールシステムを開発・提供していくことです。また、別の側面から見ると、当社は完成車メーカーの系列に属さない独自のポジショニングを持っています。そのため、マーケティングや開発、販売など、あらゆる面で独自性を生かしたアプローチを行い、そうした特徴を新技術・新製品の開発へと結びつけています。最近は、エアバッグやABSといったセーフティのための技術が注目されるようになりました。とくにABSは自動車業界をあげて標準装備化が進められ、数年後には現在の15%から100%近くにまで標準装備率が高まることが予測されています。当社が技術力を発揮する場は、これからも大きく広がっていくのです。

先進の電子制御技術が実現した
ABS、ASR、そしてVDC

 現在、当社の主要製品となっているのが、ABS、ASR、そしてVDC(ヴィークル・ダイナミック・コントロール)です。ABSは、油圧技術と電子制御技術との組み合わせにより実現したシステムであり、ASRはABSで得られる車輪回転情報により、駆動輪ごとに独立させて駆動力を制御していくシステム。高度なカーエレクトロニクス技術によって実現したシステムです。さらに現在では、技術の潮流はVDCへと進化してきました。操舵時に起こる車両の横滑りを発生直前にセンサーでキャッチし、車両挙動をコントロールすると同時に、ドライバーの望む方向に軌道を修正するという画期的なシステムです。当社のABS/ASRシステムに車両挙動とドライバーの意図を知るセンサーを加えた総合システムといえます。さらに自動運転の時代に向けて、人間とクルマの理想的な関係を見つめていきたいと考えています。