サブリースの専門企業だからこそ、
企画・開発からアフターフォローまで
あらゆるプロセスにタッチできる。
グループの直系企業として
サブリースという新業態を切り開く
同社は1986年、グループの戦略企業として誕生。サブリースという新業態に取り組んでいる。これまで、大型物件を数多く経験。同社独自のルートによる受注でもあり、最近はグループ外からの事業も主要な柱へと育っている。社内では、入社2〜3年目の社員が主要なプロジェクトを担当しており、若手が責任ある仕事が任されている。
サブリースというビジネス
当社が、設立以来手がけている“サブリース”。これは、賃貸マンションなどの物件をオーナーから一括受託で借り受け、当社からテナントに賃貸していくビジネスだ。物件の企画・設計段階からオーナーをフォローし、入居者の募集、賃料収集やメンテナンスといった管理面まで、賃貸経営のあらゆる業務を代行。賃貸経営の専門ノウハウをもとに、物件の有効な活用、安定収入の確保など、数々のメリットをオーナーに提供していく。一方、入居者に対しても、アフターフォローやリフォーム、各種設備のリースなど、物件ごとのニーズに適した生活面のサービスを提供。オーナーと入居者、双方に対して長期的に満足のいくサービスを提供していくビジネスなのである。最近では高層賃貸マンションも数多く生まれ、当社でも大型物件のサブリースを手がけている。
グループ
当社は1986年、グループの戦略企業として誕生。グループのバックボーンのもと、大型物件を数多く手がけてきた。一般的に不動産業界の事業は、ディベロッパーが行う「開発」、仲介や販売などの「流通」、アフターフォローの「メンテナンス・リフォーム」、家賃収集などの「管理」という4つに大別できる。これら4つのフェイズすべてにリンクするのがサブリースであり、その存在は業界内のコーディネイターともいえる。とくにグループには、開発、流通、内装企画・施工、住宅管理・アフター、総合ビル管理といった関連会社があり、グループ内に前述の4つの業種すべてを有している。こうした強固なグループ・ネットワークが、大型物件を数多く手がける当社の強みでもあるのだ。
設立10年、第二創業期へ
これまでグループからの受注を中心に事業を展開してきた当社だが、ここにきて新しい動きも活発化している。その一つがグループ外の顧客からのサブリース業務の受注だ。こちらは、完全独立形態の事業であり、一人一人が“ミニディベロッパー”として、新たなお客様の発掘から市場調査、物件企画、設計・施工、アフターフォローまで、すべてのプロセスにタッチしていくのである。現在では、グループからの受注と並んで、2つの大きな事業の柱となっている。
最近では新築物件ばかりでなく、中古物件のリニューアルを含むサブリースにも着手。また、マンション・ビル事業で培った賃貸経営のノウハウを生かして、スポーツクラブの運営といった新しい分野でのサブリースの可能性なども積極的に追求している。設立10年を経て今、当社は第二の創業期を迎えているのである。
賃貸マンションの
オーナーを開拓する
当社では、営業所ごとに独自ルートの顧客を開拓。不動産のトータルコーディネイターとして、契約から賃貸に適した間取りやプランの提案といったオーナーへのフォロー、テナント営業、そして竣工後の長期的なフォローまで、すべてのプロセスを一貫して担当していく体制になっている。彼は、営業所で、こうした受注活動に飛び回っている人物である。
オーナーを見つけることから始まる
マンションの開発には、オーナー、銀行、ゼネコン、設計事務所、地元の不動産店などが絡む。当社がオーナーとサブリース契約を結ぶことで、オーナーは安定した収益を確保できる。そうなると資金を融資する銀行も返済面で安心材料が増える。また当社の広告展開があれば、地元の不動産店も入居者を見つけやすくなる。という具合に、当社が入ることで各方面にメリットが生まれる。全員が持ちつ持たれつの関係になるため、情報交換が盛んなのだ。
「最近も、不動産店にオーナーを紹介してもらい、受注に結びつきました。すでに建築段階にあり、現地に行って賃貸物件として適性かどうかを確認。その後、オーナーにアプローチしました。すでに賃貸事業を経験済みのオーナーでサブリースのメリットを知っていたため、入りやすかったですね」という。
いろいろな段階から入り込める
彼が所属する吉祥寺営業所は、西東京エリアを担当している。このエリアの特徴はオーナーが法人よりも個人のほうが多く、建築するマンションも小規模なものが多い。時には空き地の“お知らせ看板”を見つけて、直接オーナーのもとへ足を運ぶこともあるという。
「情報を得た時、まだ更地の場合と、建築途中の場合があるんです。更地の状態なら企画・設計の段階で、長期的に資産価値を維持するようなプランも提案できます。また建築中でも、竣工後でも、サブリースなら入り込む余地がある。これが面白いところです。築後何年か経った物件でも、当社の出番はあるんです」
竣工後オーナーは数十年をかけて資金を返済していくケースが多い。当社とオーナーとの契約も4〜10年というスパンであり、長いつきあいになるのだ。
築40年の歴史的建築物を甦らせる
今はもう使っていない築40年の社宅をうまく活用したい。ある日、営業所では、法人クライアントからこんな依頼を受けた。部屋数は40戸。何しろ40年前の設計だから、配管や電気配線にも手を加え、現在の生活スタイルに耐えられるように大改装する必要があった。間取りも和室中心で、窓も和高である。窓枠の大きさは変えられないから、床をフローリングにして、なんとかデザインを工夫して洋風に仕上げた。その結果、賃貸マンションにリニューアル。賃料が低く設定できたこともあって、瞬く間に全室の入居の契約が終了したのである。
「自分たちの企画・提案次第で、資産の価値は高くも低くもなる。だから責任は重大で、そんな仕事に若いうちから取り組んでいける。当社はそんな会社なんですよ」という。
新築マンションの
テナントを募集する
彼は1993年に入社後、本社の営業管理部で主にテナントの家賃管理などを手がけてきた。その稲益が営業所に異動になったのは、95年9月のこと。その4カ月後から、会社の中でも主要な物件ともなるマンションのテナント営業を担当することになる。上司の強力なサポートを受けながらも、メイン担当として成功に導いた稲益の初プロジェクトを紹介しよう。
異動後いきなり大型物件を担当
営業所に異動して数カ月後、彼を待っていたのは、グループが手がける大型物件のプロジェクトだった。地上15階建て、全戸数は283戸、そのうち当社が担当する賃貸物件は70戸。グレード的には標準クラスだが、免震構造も採り入れられ、1階にはエントランがある。高付加価値の物件である。ただ一つだけ問題があった。平和島という立地にあり、東は平和島競艇場に、西は交通量が多い第一京浜に面していることだった。
「新規物件の場合、まず物件を知ることからスタートします。この立地、このランクだとどんな人が住むのだろうか。それを知るために、周辺を歩いてまわり、他にどんなマンションがあるのかを調べました。そこで意外なことがわかったんです」という。
周辺エリアからの住み替えに的を絞る
その“意外なこと”とは、平和島周辺の同じような間取りの中古マンションも、かなり高い賃料設定がなされていたことだった。周囲に住んでいる人は、すでに競艇場や交通騒音のことは納得しているはずである。ならば、周辺の中古物件と同程度の賃料にできれば、周囲からの住み替えがあるはずだ。新築物件を手ごろな価格で借りられるなら、魅力ではないだろうか。戦略は決まった。早速、地元の不動産店をまわって物件をPRし、地元の人々には新聞折り込み広告でアピールした。
「確かに2階3階など低層階のフロアは騒音の影響が多少は出そうだったんで、賃料を思い切って抑えました。階が高くなれば騒音も小さくなるし、高くても借りる人はいる。逆に高層階を高めに設定し、賃料にメリハリをつけたんです。この戦略が功を奏しましたね」
プロジェクト成功の実感
オーナーとの契約は96年1月。2月初めには営業を開始した。広告も積極的に打ち、2月の段階で最初のパンフレットを作成。団扇やポスターといった販促ツールも使い、不動産情報誌にはカラー広告を掲載した。さらにグループのインターネットの賃貸物件に関するホームページにも情報を掲載。結果的にインターネット経由では5〜6件の反応があり、うち1件が契約に結びついた。そして募集を開始したのは5月。入居可能日が12月1日であり、賃貸物件のこれだけ早い時期からの募集活動は今までにはなく、試験的ともいえた。
「結局、6月中にすべての部屋の契約が終わったんです。そのうち大田区・品川区からの住み替えの方は8割ぐらいを占めていましたね」
稲益の初プロジェクトは、成功に終わったのである。