インテリア&オフィスの分野で、
独創性を発揮しているユニークな商社
当社を徹底図解
オリジナル商品の企画開発力を
発揮する総合インテリア商社
同社は、ウォールデコと呼ばれる壁紙、カーテン、カーペットなど、建築・内装の基本アイテムを中心に扱う総合インテリア商社。91年に株式を店頭公開し、企業基盤を強化している。また、8年連続グッドデザイン商品に選定されるなど、オリジナル商品の企画開発力には定評があり、最近では環境に配慮した数々の新商品を開発。このほか、事業の新しい柱として、オフィス環境を提案するオフィス事業部も急成長を続けている。
売らない営業形態
インテリア部門は、全売上高の80%以上を占めるビジネスの中核である。一口にインテリアといっても、その種類は多種多様。当社では、ウォールデコ(当社では商品へのこだわりから壁紙のことをこう呼んでいる)、カーテン、カーペットといった、建築の内装に関する基本アイテムをメイン商品に展開している。3つの商品分野を合わせると、取り扱い商品は4000種を越えるほどである。
そして、これらの商品は独自の特約代理店制度のもとで、全国200以上の特約代理店を通じて販売されている。エンドユーザーに直接商品を販売するのではなく、特約代理店に当社商品をより多く扱ってもらう、というのがインテリア部門の基本的な営業スタイルになる。そもそも特約代理店も当社商品だけを扱っているわけではない。だからこそ、上のフローチャート図のような積極的なセールスプロモーションや販売促進活動が大切になってくるのだ。そこで大きな武器になるのが、8年連続でGマークを獲得している当社ならではの商品開発力である。優れたデザインと品質は当然、アピール力がある。また、独自制作の全商品をラインナップした20種類近い見本帳の活用も見逃せない。実際、顧客に配布した見本帳からの受注比率はきわめて高い。こうした販促活動を、特約代理店はもちろん、実際に内装工事を担当する地元の内装工事会社、設計事務所、建築施工会社、ゼネコンなど、3200社以上の顧客に対して展開。ときには施主にアプローチすることもある。
人材観
当社が建築・インテリアの業界のオピニオンリーダーと呼ばれる理由の一つに、商品力があげられる。特約代理店を支援・指導し、商品力をいかにアピールしていくか、営業担当はプレゼンテーターとしての能力が大切になっている。そして、建築計画などの最新情報を素早くつかむアンテナ。特約代理店の的確なサポートと、情報営業ができる人材が求められている。
キーマンを攻める
特約代理店以外の別ルートからの営業活動を展開するスタッフ。それが営業開発担当である。別ルートとは具体的に言えば、大手ゼネコンやデベロッパー、著名な設計事務所、施主である大手企業など。そこにダイレクトにアプローチをかけるわけである。建設工事の情報は、施主→設計事務所→建設会社→内装施工会社というリンクのもとで広がるのが一般的だ。下から上へとアプローチが多い営業担当に対し、営業開発担当は反対に上から下へとアプローチしていくことが多くなる。こうした広い関係図の中で営業ターゲットを絞る先、それは内装関係の決定権を握っている人物にほかならない。キーマンを探しあてることが営業活動の第一段階であり、その後のカギにもなるのだ。時には、特約代理店をサポートしながら攻めていた営業担当から「大手ゼネコンの○○部長がキーマンなので、営業開発でアプローチしてほしい」という要請を受けることもある。逆に、営業開発から営業部門に情報をフィードバックすることもある。別ルートからのダブルアプローチによって、ビッグプロジェクトをモノにする。そこにネゴシエーターの醍醐味がある。
また、当社本社2階と新宿パークタワーにあるショールームは営業開発の管理であり、“ジャパンテックス”などの各種イベントでのブース企画・運営も営業開発が担当。プレゼンの場は多彩にあるわけだ。
人材観
ショールームでは、色や材質などを実際にコーディネイトできるため、ここにキーマンを招待してのPRも効果的である。いずれにしろ、大手ゼネコンなど、建築界をリードするキーマンにPR活動を展開するため、交渉力や説得力、プレゼンテーション能力が大いに発揮される。また見本帳に掲載されていないウォールデコやカーペットの製作依頼が発生することもある。その際には本社の企画部へと話を持ち込み、“製作プロデューサー”として特別注文品に取り組むのである。
プロポーザー営業
オフィス事業部では、当社が代理店として機能している。オフィスファニチャー、事務機器、OA機器のメーカーが手がける事務用品、デスク、キャビネット、パーテーション、OA機器などの製品をコーディネイトして提供。また、オフィスのレイアウト変更から、オフィスビル全体のリニューアルまで、事業フィールドは広い。そんな中で当社が一つの事業戦略として掲げているのが、プロポーザー営業の展開である。業種や職種によって、オフィスに求められる機能は異なり、最適なオフィスも違ってくる。そこで、豊富な商品知識をベースに、これまでの実績から蓄積してきた業種や職種に特有なきめ細かい情報や知識をプラス。単に製品を提供するのではなく、快適なオフィス、アメニティオフィスの創造を柱にした提案型の営業スタイルを築いているのである。現在では、そうしたオフィス・クリエイティブのノウハウをもとに、2000社を越える企業をメインユーザーとして獲得。さらに新規ユーザーの開拓も積極的に進めている。
人材観
オフィス事業部の仕事で大切なのは、“多面的な視野”を持つことである。メインターゲットは、設備導入などの窓口となる総務部。ただし、総務部だけにアプローチしていても、マーケットは広がらない。もう一歩踏み込んで人事部へとアプローチすれば、社員寮などの新築やリニューアルといった周辺ニーズをいち早く入手できる。また、自社の設計室を動かしてニューオフィスをCADで提案したり、メーカーの設計担当者を動かしてビル全体の設計図をプレゼンしたり、あるいは内装に関してインテリア部門の協力を要請することもある。各分野のスペシャリストを柔軟にコーディネイトする力も重要なカギになっている。
今までにない商品を
およそ20億円という制作費が投入されている見本帳。約20種類、年間約60万冊におよび、2年ごとに改訂されている。ウォールデコの総合見本帳だけでも厚さ約19cm、重さ約8kgにもなり、年間約15万冊が全国の特約代理店や顧客に配布されている。PR活動の強い味方となっているのも当然といえば当然のこと。商品の写真イメージが受注量に影響するほどだから、制作担当者たちの責任は重大である。
この見本帳づくりや商品企画を担当しているのが企画部。営業セクションとの綿密なミーティングを重ねて、市場のニーズを先取りした商品を企画する。新しい素材やデザインを求めて、海外にも頻繁に足を運び、大理石やセラミックなどを使った素材シリーズの開発などに結びつける。また、欧米のニューデザイン、日本を代表するグラフィックデザイナーなどの起用。インテリアを工夫して空間を楽しみ、住まうことをより豊かにする時代を、当社はプレゼンしている。こうした活動から、8年連続で通産省選定グッドデザイン商品を生み出してきたのである。
人材観
企画部が積極的に進めているのが、健康と環境を考えた商品の開発だ。最近では紙素材を利用した「紙壁紙」、再生紙を活用した壁紙「エコマーク」などを開発。96年には業界で初めて、従来の半分の塩化ビニール含有量で焼却時に塩化水素が発生しないウォールデコ、また同じく業界初のペットボトルを再利用したカーペットを生み出している。こちらは、飲料メーカーの工場や社員寮などに向けて出荷。リサイクルの効果と同時に、導入先企業のイメージアップにも役立てられている。このように社会の動きやニーズの変化に対して敏感なアンテナを持ち、潜在的なマーケットを創造していくのが商品開発の役割。幅広い視野で、多方面に対して旺盛な興味を持つ人材が求められている。
クイックデリバリー
ウォールデコなどのオーダーは、「多品種で、なおかつ小口カットしたものを大量に」というパターンが圧倒的に多い。しかも、顧客サイドで使用する商品の最終決定を下すまでに時間を要するため、オーダーを受けてから実際に納品するまでのスピードも受注を獲得する大きな要素になっている。“クイックデリバリー”もクオリティーの一部なのである。当社はこのデリバリーという側面からのアプローチでも、業界内のリーダーシップを取っている。
当社の首都圏流通センターには、常時5万アイテム、トータルで約5000種類もの商品がストックされている。デリバリーの件数は1日あたりおよそ5000件ほど。ピーク時には約7000件にも達する。そこで、先進のコンピュータ制御を核とした立体自動倉庫を確立している。特約代理店から当社の営業所にオーダーが入ると、その情報がオンラインネットワークを通じてホストコンピュータに届く。そして、受注から6秒あまりで裁断・出荷の準備までを完了。およそ4時間後には条件通りの商品を現場へ納入するという画期的なシステムを築いているのである。
そして、97年8月には32億円を投資して建設中の「新東京流通センター」が完成する予定。延床面積2万3000㎡で、流通システムもグレードアップする。クイックデリバリー体制がさらに強化されていくのである。
新インテリアイズム
91年7月、当社は株式の店頭公開を果たした。これは、設立から40年あまりにわたって着実に積み上げてきた業績と信頼をベースに、新しい当社を創造していく一つのステップである。当社の事業は、あらゆる建築物が“空間演出”の舞台であり、マーケットはこれからも限りなく広がっていく。商品力、提案・営業力、物流など、総合力をもとに当社は“新インテリアイズム”への進化を続けていくのである。